打率.244 45打数 11安打 2本塁打 7打点
これは11月14日の読売ジャイアンツ対横浜DeNAベイスターズ最終戦をもって
終了したセントラルリーグにおいて、私の推しである読売ジャイアンツの外野手、石川慎吾さんが残した今年度の成績である。
有識者や同じ贔屓球団のオタクの意見も賜りたいところであるが、私自身の正直な感想を述べると
「かなり物足りない」この一言に尽きる。
彼の来歴と立ち位置を整理しよう。
2011年に東大阪大柏原高から北海道日本ハムファイターズに指名
2016年シーズンオフに大田泰示・公文克彦との交換トレードで吉川光夫と共に読売ジャイアンツへ移籍
2019年は55試合に出場し打率.257 4本塁打の成績を残し、8月24日の対DeNAベイスターズ戦にはエドウィン・エスコバーから延長11回に代打サヨナラツーランを放ち、チームに5年ぶりの優勝マジックナンバー「20」を点灯させた。
2020年はアレックス・ゲレーロが抜けた外野陣の中でパンチ力が光る右の外野手として、代打や対左投手戦のレギュラーとしての活躍が期待されていた。
しかしながら現実はそううまくいかない。
最大の持ち味であるパンチ力のある打撃は鳴りを潜め、たまにスタメンで起用される試合でも4タコ(4打数ノーヒット)、課題の守備でもアピールとはいかず、再三走者の進塁を許すプレーに「今年もクソ守備かよ」といった巨人ファンからの失望、叱責、怨嗟の声が弊TLにも数多く流れてきた。
結果としてシーズン終盤まで1軍2軍を行ったり来たり、練習態度の悪さなどから「早く整理対象にしろ」という意見も時折見かけるようになっていった。
終盤には2軍での好成績が考慮され、みたび1軍の舞台を首脳陣から与えられた。
9月以降は主に代打として起用され、17打数5安打、打率.294 1本塁打(現地で見てました うれしい)とぎりぎり面目を保った。恐らく首も繋がったであろう。
(18回代打で打席に立って1四死球5三振はどうなんだという気もするが)
ただし相変わらずその辺の高校生を守備に就かせて方がまだましなんじゃないかと思える課題の外野守備や、思い切りの良さといえば聞こえがいいが、何を待っているのかわからない空振りや一塁側への振り遅れのファールからの三振や平凡な内野ゴロなど淡白な打席内容は未だに頻繁に見受けられるので、短所を補って余りある長所をアピールしていくか、今年.222と低迷した得点圏打率や対右投手打率.154の向上など、目に見えた課題から改善していくことができれば…という気持ちではある。
そこまでボロクソに言うなら最初から応援しなければいいだろ、という至極全うなご意見が来そうな気がする。
おそらく同じ石川慎吾さんを「真剣に」応援している方々はもとより石川慎吾さんからしてもこんな面倒くせえファンの存在は目障り耳障りでしかないだろう。
ただ、「推す」という感情は結果を出したから推す、結果が出せなくなったら推し変するような簡単な切り替えや割り切りができるものじゃないと思う。
推しているからこそダメなところも見えてくるし、普段期待していないですよみたいな斜構スタンスで見ていても出場すればよい結果が出ることを期待してしまう。
まぁ要するにこじらせているのである。
石川慎吾さんのオタクを公言している身分ではありますが、間違いなくここでは打たんと思う場面がわかる上に当たってしまうから応援したい気持ちと頼むから醜態を晒してくれるなという気持ちが絡み合って訳の分からないテンションで打席を見てます
— ずこーよく (@zukoyoku_yg36) 2020年10月13日
(これは2-5の劣勢の9回裏ツーアウトから丸佳浩、ゼラス・ウィーラーの2者連続ホームランで1点差に詰めた後に石川慎吾さんが三振に倒れた直後のツイート)
そもそもなぜ「こんなこと」になったか。それにはまぁまぁ長い経緯がある。
私が 石川慎吾さんを知ったのはおそらく2014年のプロ初ホームランシーン。
ネルソン・パヤノの低め、見逃せばボール球のストレートを「ぶつける」ようなスイングでバックスクリーンに運んだ映像を見たとき、「ハムにいいスター候補が出てきたな」と思ったことを朧気ながら覚えている。
【プロ野球パ】石川慎、嬉しい嬉しいプロ初HRは代打勝ち越し弾 14/05/20 F-D
そして2016年、前述のとおり当時ドラフト1指名されるも8年で通算9ホームラン、著しく伸び悩んでいた大田泰示とプロ入り4年で15登板の公文克彦を放出し、2013年MVP左腕の吉川光夫との複数トレードでジャイアンツへ移籍。
どちらのチームも「環境を変えることでいまいち結果が出ていない選手たちの奮起を促そう」という思惑は間違いなくあったのだと思う。
(現状どちらが得したかはあえて口にしません)(後々鍵谷が貰えたのでセーフ)
獲得当時の年齢が23歳と若く、1軍野手陣の高齢化が顕著になっている状況で使われるシーンはそこそこあるのでは?という期待を持っていた。
そして開幕した2017年シーズン、開幕から長野久義の怪我に伴う不振等で1軍出場機会が増え、4月の東京ヤクルトスワローズ戦では石川雅規のスクリューを左中間スタンドへ放り込んだ。
1軍に20台のレギュラー格が坂本勇人と小林誠司のみ、高齢化が深刻な野手陣の「起爆剤」として活躍の舞台を増やした。
その後も6月の中日ドラゴンズ戦では代打でサヨナラタイムリー、現地観戦したDeNAベイスターズ戦では代打で4号、阪神タイガース戦では5号本塁打に決勝タイムリー、好捕殺と随所で印象的な活躍を残し、一気に赤丸急上昇の存在となった。
「ダイナマイト・シンゴ」と称される爆発力のある打撃は勿論、凛々しい容姿や代打や対左投手相手の勝負強さ、脚力も肩力もあるのにお世辞にも上手いとは言えない外野守備、チームのムードメーカーとして声を張り上げるさまは、かつて同じようなプレースタイルとキャラクターで長年愛された矢野謙次(現ファイターズ1軍外野守備コーチ)をほうふつとさせ、当オタク含め多くの巨人ファンの心を鷲掴みにした。
矢野のトレード以来2年ほどチーム内にユニを買って「誰々のファンです」と言い切れる選手がいなかった私にとって、かつての推しの若かりし頃の生き写しのようなプレースタイルの選手が出てきた、しかも現地観戦で2試合連続で大殊勲の活躍を見せられた人間がどのような心境になるかは察しの良い野球マニアたちなら説明は不要だろう。
最終的に99試合に出場し打率.242 5本塁打 20打点を記録したスター候補にかかる期待は大きかった。準レギュラーから外野のレギュラーへ、2桁本塁打も夢じゃないと多くの巨人ファンが希望を口にした。
しかし1年の活躍がそう続かないのもプロ野球の常である。
翌年2018年の成績は打率.192 本塁打打点ともに0
昨年2019年は打率.257 前出のサヨナラ含め4本塁打と存在感を示したが、
今年は自身の不調と、陽岱鋼やウィーラーといったベテランや助っ人に加え、
松原聖弥・若林晃弘らの台頭に押し出される形でスタメンはおろか代打としての優先度も低下した。
巨人ファンとしての客観的(※当人比)な視点に立てば、日本シリーズに戦いの場を移すチームの中で現実的なアピールのチャンスはあって代打の1,2打席だろう。
そこで何らかの結果を示さなければ枠の関係上最後まで1軍にいない可能性も十分に考えられる。
しかし、1人の「石川慎吾」のファンとして、このまま彼の2020年シーズンを終えてほしくないという本心がある。
それは諦めの悪さからくるものなのか、批判し続けた巨人ファンたちに「ざまあみろ」と言いたい底意地の悪さなのか、未だに活躍の幻想(ゆめ)を見ている現実の見えていなさからくるものなのかは自分でもわからない。多分多かれ少なかれ全部入っていそうだ。
1勝もできず苦杯を飲んだ昨年の日本シリーズ、そしてそれを超え、リベンジするチームの中心になることは考えづらい。
ただ、かつての如く打線に火をつけ、起爆剤としてチームに勇気を与える存在になら活躍ひとつでなれる可能性はあるだろうと””願っている””
確証なんてひとつもない。可能性だっておそらく100にや100に1の吹けば消えそうなものなのだと思うし、単純にこれは1人のオタクの妄言である。
火をつけろ 燃えてみろ 本物の「ダイナマイト」になってみろ
まだ信じているからよ